本計画では、国指定史跡「史跡津軽氏城跡堀越城跡」を市民に広く親しまれるような史跡公園として整備するため、次に掲げる整備計画の目標に基づき事業を推進しました。
堀越城跡はのちの弘前城跡へとつながる近世城郭の特徴を有しており、その構造は津軽為信が本拠とした16世紀末に、大規模な普請によって作り出されたものです。
また、城の中心に位置する本丸からは、主殿や門等の機能が想定される大型の礎石建物跡が確認されているが、この礎石建物の建築技術を津軽地域において初めて本格的に導入したのが堀越城跡であると考えられます。
そして、堀越城跡の立地は、為信が本来の勢力圏とした岩木川西岸鼻和郡ではなく、平川の左岸平賀郡内の旧南部氏勢力圏との境界に当たるものであり、また、諸河川に囲まれ、街道上にも位置する等、交通の要衝にも当たっています。
史跡の適切な保存を図ると共に、これらの特徴を活かした整備・活用を実施しました。
当時の城郭は人工物ではあっても、短期的に、手作業(機械に頼らず)で作り上げた構造物であり、自然になじみ、やがて水と緑ゆたかな城景観を呈したと推定されます。
この場所の土地条件を活かし、多様な生物も生息する水と緑ゆたかな環境を整備し、その中に遺構を表現することによって、歴史的な雰囲気が感じられ、かつ現代に市民の憩いの場となる環境の実現を行いました。
堀越城跡は弘前市(もしくはその広域圏)の歴史的な核の一つであり、高速道路から市街地に至る町の入り口部分に位置します。
よって、様々な人が足をとめ、津軽氏の各城跡への関心、あるいは地域の歴史・文化に対する関心を深め、観光・レクリエーションの活性化にも寄与する拠点としての機能を持たせることを目指しました。
また、堀越城跡の土塁・堀・平場等からなる土木的な空間構造は、大規模な普請(土木工事)を示すものであり、また現在も良好に残っているが、地表部の改変等によりわかりにくい部分もあります。
この土木的な空間構造がわかるよう復元整備し、堀越城跡の特徴を表現することを整備目標とし、上記の基本方針に基づき整備を図っています。