国分寺・国分尼寺の創建は天平13(741)年に聖武天応が仏教によって国家を治めていくために60ヶ国ほどあった国ごとに七重の塔と僧寺、尼寺を設けるよう詔を発したことが始まりです。
当時の陸奥国分寺は、南北方向の中軸戦にもとづいて、南大門、中門、講堂、僧房、鐘楼、塔を配置する七堂伽藍によって構成されていました。
陸奥国分寺は大正11(1922)年に、陸奥国分尼寺はその一部が昭和23(1948)年に国史跡に指定されています。
今回の整備工事では、史跡指定地の南半部を対象に新たな学びと憩いの場となるようにガイダンス施設や南辺築地跡とそれに伴う大溝跡の遺構表示、また園路、緑地広場等の整備をしています。
また、ガイダンス施設として廻廊の一部を復元し、「天平廻廊」という呼称で実物大展示の役割を果たすとともに奈良時代の建物の雰囲気を感じながら休息できるよう配慮しています。
本整備計画の目的及び整備活用の基本方針について整理すると以下の通りです。
整備計画の目的
- 全国的にも貴重な歴史的遺産として、恒久的な保護と未来への継承を図る。
- 史跡陸奥国分寺跡尼寺跡に関する歴史の学習、体験、体感の場として活用する。
- 歴史が今も生き続けている場として、地域に根ざした歴史景観に配慮する。
- 市民に親しまれ、多様な利活用等が可能な園地的空間としての形成を目指す。
整備活用の基本方針
- 発掘遺構の表現(対象:陸奥国分寺跡)
伽藍域で確認された発掘遺構は、基本的には既整備地区に合わせて平面表示を行うこととする。特に、伽藍中枢部は遺構の重層性に配慮しつつ、既存道路のあり方を再検討するとともに、全体的な遺構の表現を長期的な視野に立って目指す。
また、南辺築地の位置については、陸奥国分寺としての正面景観を形成する観点から先行して現地に表示する。
- ガイダンス施設の設置
史跡見学者への歴史情報を提供するする施設として伽藍域外南側に隣接する西半地区にガイダンス施設と多目的広場を整備し、陸奥国分寺伽藍域の紹介や解説等を中心とした直接的でわかり易い展示を行う。
また、隣接して多目的利用が可能な野外広場を設け、ガイダンス施設との一体的な利活用の拡充を目指す。
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